起きたい時間に起きられない。それは意志の弱さではありません。あなたの心がどちらで動くかを知るだけで変わります。

あなたの心はどちらで動く?

得られるものに注目する人:

「7時に起きれば、朝の1時間が手に入る」

失うものに注目する人:

「寝坊すると、午前中の集中力を失う」

どちらが心に響きましたか?正解はありません。自分の心が動く方向を見つけることが、続ける秘訣です。

睡眠不足は不安を60%増加させる

2024年、アメリカ心理学会の学術誌に画期的な研究が発表されました。

154件の実験研究(50年分、参加者5,717人)を統合したメタ分析です。結果は明確でした。わずか1〜2時間の睡眠不足でも、不安症状は確実に増加します。

さらに衝撃的なのは、不眠症の人は不安障害を発症するリスクが3.2倍になることです(13件の長期追跡研究による)。

寝不足の朝、些細なことでイライラするのは、意志の弱さではなく脳の仕組みなのです。

トラウマ記憶も睡眠が癒す

PTSD患者の**63%**が不眠を経験していることが、大規模メタ分析(参加者57,618人)で明らかになりました。

なぜか?

通常、レム睡眠中は脳内のストレスホルモンが最低レベルまで下がります。この「安全な環境」で、脳は感情記憶を処理します。「何が起きたか」は覚えているけれど、「そのときの恐怖」は薄れていく。

ところがPTSD患者では、この仕組みがうまく働きません。レム睡眠中もストレスホルモンが高いまま。だから同じ悪夢が繰り返されるのです。

希望もあります。

睡眠を改善する認知行動療法(CBT-I)は、うつ症状を中程度改善することが、65件の臨床試験(参加者8,608人)のメタ分析で証明されています。睡眠の質が改善するほど、精神健康も改善する。明確な用量反応関係があるのです。

習慣への時間投資

「起きる習慣を作るのに時間がかかる」ではなく、「習慣ができれば、毎朝の余裕が手に入る」。

同じ時間でも、損失ではなく投資と捉える。今夜早く寝ることは、明日の感情をリセットする投資です。

記録する

今朝、何時に起きたか。目標まであと何分か。

記録するだけで、進歩が見えます。昨日より5分近づいた。それで十分です。

参考文献(すべて査読付きメタ分析):

Palmer et al. (2024) Psychological Bulletin — 154研究、N=5,717

Hertenstein et al. (2019) Sleep Medicine Reviews — 13研究

Ahmadi et al. (2022) Neuroscience & Biobehavioral Reviews — N=57,618

Scott et al. (2021) Sleep Medicine Reviews — 65試験、N=8,608

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